香港豆知識12


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チップ

 イギリスの植民地だった香港にはチップの習慣が残っている。日本人はなかなか慣れることができないが、とりあえずホテルのベッドメイクとレストランの支払いにだけ気をつけておけば問題ない。ポーターやドアマンに何気なくチップを渡すことができれば完璧だ。もちろんこれは、一流ホテルに泊まった時の話だが。

 異国の習慣だからだろうが、日本人はチップに対して神経質だ。しかし香港では、チップを忘れてもトラブルになることはない。個人的な観察だが、そもそも香港人はあまりチップを払わない。気前よくチップを払っているのはアメリカ人、イギリス人と日本人くらいなものだ。

 それが理由かどうかはわからないが、香港では料理の代金に10%のサービス料をあらかじめ加えているレストランがけっこうある。サービス料とはチップのことだから、こうした店では請求金額とは別にチップを置く必要はない(太っ腹にチップを置けば喜ばれるが)。

 クレジットカードを使う場合、明細に「TIP」の欄があれば、客はそこに適当な額を加えて合計金額を支払う。といっても難しい計算はできないから、例えば料理の値段が856HK$だったら、チップに100HK$を加えて956HK$を払う。これも経験上、チップが料理の代金の10%を超えていれば嫌な顔はされない。それ以上奮発しても感謝されるわけでもない。サービス料込みの店では、当然、それ以上のチップを払う必要はないので、そのままサインして席を立てばいい。

 これは余談だが、香港人は実に真剣にレストランの明細をチェックしている。それに対して日本人は、合計金額だけしか見ないことがほとんどだ。
これは、別に文化的な習慣でもなんでもない。香港人が神経質なのは、単に間違いが多いからである。うっかりしていると、隣のテーブルの料金を支払うことになりかねない。

 香港でいちばん戸惑うのは、ホテルやショッピングセンターなどのトイレに必ず掃除の人がいて、手を洗うとタオルを差し出してくれることだ。ここまでしてもらって無視するのはさすがに気がとがめるのか、ケチな香港人でも2HK$程度のチップを渡しているようだ。


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