小富豪のためのハワイ極楽投資生活・入門
ハワイに関する10の誤解
8)ハワイで暮らせば英語が上達する
ホノルルの語学学校には日本から多くの学生が英語を学びにやってきます。あまりにも日本人学生の数が多いので、日本人同士で集まるようになり、結果として日本にいるのとたいして変わらないということになります。そもそもホノルルで生活するのに英語はほとんど必要なく、何年もハワイに住んでいるのに挨拶程度の英語しか話せない人も珍しくありません。
英語が話せるようになればアメリカで働けると漠然と思っている人もいますが、アメリカでは労働条件が学歴と職歴(キャリア)によって厳密に定められており、語学専門学校はキャリアにならないので就職には何の役にも立ちません。ハワイ大学はアメリカでも評価の高い州立大学ですが、そもそもハワイには観光以外の産業がないので、卒業生の多くは職を求めてアメリカ本土に渡ります。
最近では“グローバリゼーション”の名の下に、TOEICの点数で幹部社員を決めるという大企業も出てきました。そのためか母親の英会話熱はかつてない高まりを見せ、英会話学校のキッズスクールはどこも大盛況です。
その究極の姿が、ホノルルで増えつつある「母子【ルビ:おやこ】留学」です。これは、子どもに英語力を身に付けさせるために、父親を日本に残したまま母親が子どもを連れてハワイに移り住むという流行現象で、滞在資格を獲得するために母親もどこかの語学学校の学生になるため、母子で留学することになるのです。
しかし、ちょっと考えればわかるように、この「母子留学」はおそろしくコストがかかります。夫の日本での生活費とは別に、少なくともハワイの生活コストとして月額20万円程度の仕送りは必要でしょう。そのうえ、母親と子どもの2人分の学費がかかります。それを考えると、年収1,000万円クラスのサラリーマンでも「母子留学」の費用を賄うのは難しそうです。
ハワイは全米でも教育熱心な州で、レベルの高い私立学校がいくつもありますが、どこも学費は年1〜2万ドルとかなり高額です。予算に限りがある場合は、公立小学校に通わせるしかありません。
アメリカの公立学校は地域社会が運営主体となるため、よい学校に子どもを入れるには高級住宅地に住む必要があります。クラスに空きがある場合は抽選で他の地域の子どもを受け入れていますが、競争率は非常に高くなります。アメリカでもいじめは深刻な問題になっており、学校選びを間違えると悲惨なことになります。
英語は世界共通のビジネス言語ですから、多少文法が間違っていても、意図することが正確に伝われば問題ありません。営業マンでもなければネイティブ同様の英語力など必要なく、日本で働くのなら、英語よりも日本語の運用能力や教養のほうが大事です。それを考えれば、「母子留学」が投資額に見合う成果を上げるかどうかはちょっと疑問です。
もっとも、夫と離れ、面倒な近所付合いもなくハワイ暮らしを満喫できる母親にとっては素晴らしい体験であることは間違いないでしょう。