小富豪のためのハワイ極楽投資生活・入門
ハワイに関する10の誤解
3)ハワイの生活はコストが安い
書店に並んでいるハワイ本の中には「日本に比べてハワイは物価が安く過ごしやすい」と書いてあるものが多くありますが、これは事実ではありません。ハワイはアメリカでもっとも物価の高い地域のひとつであり、当然、日本と比べても「安く暮らせる」ことはありません。
『で、あんたはハワイに住みたいんだろ』の著者トニ・ポランシーは、ハワイの食料価格をアメリカ各地と比較し、「平均で35%、アメリカ南部と比べれば65%も割高」と結論しています。
生活に必要なパン、牛乳、卵、牛肉、野菜、コーヒーなどを全米各地のスーパーマーケットで実際に購入し、比較検討したもので、それによればアリゾナ(フェニックス)、オハイオ(クリーブランド)、インディアナ(サウスベンド)などでは20ドル程度の買物がホノルルのダイエーでは28.54ドル、マウイ、カウアイ、ビッグアイランドなどのネイバー・アイランズでは32〜36ドルもします。それに消費税が加わるので、もっとも高いマウイ(キヘイ)ではなんと37.32ドルも支払わなければなりません。
日本では、これほど大きな地域差は存在しません。アメリカ人にとってハワイとは「生きていくのにえらく金がかかるところ」なのです。
トニ・ポランシーはハワイの物価が割高になる理由をふたつ挙げています。
ひとつは太平洋の孤島なので、島内で栽培できないものはすべて船便で輸送しなければならないことです。ホノルルのスーパーマーケットではレタスやトマトなどの野菜類が所狭しと並べられていますが、これはすべてハワイの気候では栽培できないものばかりです。当然、これらの食品の価格には輸送コストが上乗せされ、鮮度も落ちます。
もうひとつはハワイ独特の消費税(州税State Tax)の仕組みにあります。ハワイ州の消費税率は4.166%で、日本の5%やニューヨークの8.625%よりも安いように思いますが、あるエコノミストは「ハワイ州の実効税率は16%程度に達する」と試算しています。
ハワイ州がこのような特殊な税制を導入しているのは、州の人口120万人に対し、年間700万人もの観光客が訪れるという事情と無縁ではありません。
こうした観光客から効率的かつスマートに税金を徴収するには、食料品、宿泊費、サービスを含むすべての商品に対して高率の消費税をかけるのが最良の方法なのです。
その結果、ハワイ州の財政はその半分近くを消費税に依存するという歪な構造になっています。
よく言われるように、消費税は逆進性の強い税制です。貧しい人でも生きていくためには家賃や光熱費を支払い、毎月一定量の食料品を購入しなければなりません。それに対して億万長者でも、食費や光熱費を無限に使うことはできません。貯蓄や投資には消費税はかかりませんから、総収入に対する消費税の割合は貧しい人ほど高くなります。
そのためヨーロッパ諸国など財政を消費税に依存する国の多くは食料品を課税対象外にするなど、逆進性に対するある程度の配慮を行なっていますが、ハワイ州ではこのような調整は一切行なわれていません。
その物価の高さと消費税の実効税率から、アメリカ国内では、ハワイは「金持ちには天国だが貧乏人は暮らしにくい場所」の筆頭と考えられています。