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海外投資実践マニュアル(7) 

アメリカ2 U.S.A.2


米国市場の基礎知識(1)

株式


1)取引時間

証券取引所の通常取引時間は以下のとおり。

通常取引 Regular Hours Trading:AM9:30〜PM4:00(アメリカ東部時間)。

 日本と東部時間との時差は14時間、サマータイムでは13時間。したがって、日本での取引時間は以下のようになる。
・標準時間期間の日本時間での取引:PM10:30〜翌AM5:00
・サマータイムの日本時間での取引:PM11:30〜翌AM6:00
 *アメリカのサマータイムは通常4月の第1日曜日のPM2:00〜10月の最終日曜日のPM2:00。

時間外取引 Extended Hours Trading:AM8:00〜PM8:00
*日本時間では、標準時間期間でPM9:00〜翌AM9:00、サマータイムでPM10:00〜翌AM10:00。

時間外取引は証券市場を使わない業者間の証券取引ネットワークECN(電子証券取引ネットワーク)の営業時間。
対象はNYSEおよびNASDAQ銘柄で、取引はIDを持つマーケットメイカーかECNを通して行なわれ、通常取引に比べて価格の変動が激しく売買価格の開きも大きい。そのリスクの高さから、E*TRADEでも Ameritradeでも、事前にリスクに関する同意書に同意をしないと取引できない。

2)開場日と休場日

市場は基本として月曜〜金曜日に開かれる。休場日は土日のほか、以下のような祝祭日がある。

1月1日:New Year's Day 
1月第3月曜日:Martin Luther King Jr Day 
2月第3月曜日:Washington's Birthday 
イースター前の金曜日:Good Friday 
5月最終月曜日:Memorial Day 
7月4日:Independence Day 
9月第1月曜日:Labor Day 
11月第4木曜日:Thanksgiving 
12月25日:Christmas Day 

3)ティッカー

 個別株、ETF、ADR、オプション、ミューチュアルファンドなど、米国市場で取引されているすべての銘柄はティッカーTickerと呼ばれる証券コードによって管理されている。ゼネラルエレクトリックのティッカーは「GE」、コカコーラは「KO」、マイクロソフトは「MSFT」で、NYSE銘柄は1〜3文字、NASDAQ銘柄は4文字が原則。ティッカーは、どの証券会社や株式サイトでも企業名から検索できる。

 米国市場のもうひとつの特徴は、日本とちがって単位株制がないことで、その気になれば1株からでも売買できる。株価も1株100ドルを超えるようなものは積極的に分割されるので、日本でいうミニ株レベルの投資も可能。ただし格安オンライン証券会社でも売買手数料は10ドル前後なので、手数料率1%として、最低でも1,000ドル程度で売買するのがふつう。

4)株価を見る7つの指標

株価の情報を検索すると、通常以下のような7つの指標で売買状況が表示される。
1) Bid:買気配
2) Ask:売気配
3) Last:直近の取引値
4) Change:前日比
5) High:最高値
6) Low:最安値
7) Volume:売買高

5)取引内容

取引内容には、以下の4つがある。
1) Buy:買い
2) Sell:売り
3) Buy to Cover:信用売り玉の決済
4) Sell Short:カラ売り(信用売り)

アメリカでは日本と違って、現物株取引と信用取引がわかれていないので、口座にある現金以上に株式を購入すると自動的に信用買いになる(現金を残して買い玉を建てることはできない)。「Buy」+「Sell Short」で両建てが可。買い玉を決済するときは「Sell」、売り玉を決済するときは「Buy to Cover」を使う。

5)注文タイプ

注文のタイプには、主に次のようなものがある。

(1) Market Order:成行注文

自分で売買価格を指定しないもっともシンプルな注文方法。市場が開いていれば、Ask(売り気配値)やBid(買い気配値)に近い値段で売買がすぐに約定される。

(2) Limit Order:指値注文

自分で売買価格を指定する注文方法。いくらで指値するかはその日の相場を見ながら判断するが、買いの場合はAsk(相手の売値)よりも安く、売りの場合はBid(相手の買値)よりも高くしなければ意味がない。時間外取引では、このLimit Orderしか認められない。

(3) Stop (Market) Order:ストップ(マーケット)注文

「損切り」や「利益確定」に使用するもの。たとえば、30ドルで買った株が25ドルまで下がったら損切りしようとあらかじめ決めていたとする。この場合、注文を「Sell」にしたうえで、Stop Price(Act Price)25ドルでStop (Maeket) Orderを入れておけば、株価が25ドルになった時点で自動的に成行注文Market Orderが執行され、成行価格で売却してくれる。

(4) Stop Limit Order:ストップ・リミット注文

Stop Orderの場合、株価が指定したStop Priceに達すると自動的に成行注文Market Orderに移行するので、実際にいくらで売買できるかはわからない。成行注文を避けたいときに使うのがStop Limit Order。Stop Priceになったら、自動的に指値注文Limit Orderが執行される。

たとえば、30ドルで買った株が25ドルまで下がったら、確実に5ドルの損で確定させたいとする。その場合は、「Sell」のPrice(Limit Price)を25ドルとしたうえでStop Limit Orderを選択し、Stop Priceに25ドルと入力する。これで、株価が25ドルになれば自動的に25ドルの指値で売り注文が出される。ただし成行注文と違い、指値の場合は相場の状況によって売買が成立しない可能性がある。

(5) Trailing Stop Order:トレイリング・ストップ注文

Stop Orderの一種。損切りもしくは利益確定する株価Stop Priceを指定するのではなく、現在の株価からの開きで指定する方法。株価によってStop Priceは自動的に変動する。その差を金額($)で指定する「Trailing Stop $」と、パーセンテージ(%)で指定する「Trailing Stop %」がある。

 たとえば株価30ドルのとき、Stop Price=2ドルでTrailing Stop Orderを出すと28ドルでStop Orderが出され、株価が31ドルになると29ドルに自動的に上昇する。ただし、一度上がったStop Priceは下がらない。この株が35ドルまで上がったあとふたたび30ドルまで下落したとすると、Trailing Stop価格の33ドル(35ドル−2ドル)で売り注文が出されて利益が確定することになる。

6)注文の有効期限

注文の有効期限は証券会社によってさまざまだが、基本は、発注日当日のみ有効か、自分で有効期限を設定するかに分けられる。

発注日当日(市場が閉まった後の注文については翌営業日)のみ有効な注文を「Day」または「Good for the Day」といい、成行注文はすべてこれになる。それに対して自分で有効期限を設定する注文が「GTC」。「Good Until Cancelled」の略で、文字どおり「キャンセルされるまで有効」の意味。一般に30日〜60日程度の範囲でキャンセル日を決められる。

7)執行方法の指定

発注時に以下のような指定を出すことが可能。

(1)AON(All Or None):すべての注文が条件どおり約定しないのであればいったん取り下げる。注文自体は有効期限いっぱいまでキャンセルされずに残る。

(2)FOK(Fill Or Kill):全株数の売買が成立しなければ注文自体をキャンセルする。

(3)IOC(Immidiate Or Cancel):即座に売買が成立しなければ(注文の一部が成立した場合はそれを除いて)注文をキャンセルする。

たとえばある銘柄を30ドルで1,000株、ANOで指値注文した場合、指値の価格で500株の売りがあっても約定しないが、注文はそのまま残るので、次に1,000株の売りが出たときに約定する。FOKで指値注文した場合、約定を見送った時点で注文がキャンセルされるので、後で1,000株の売りが出ても執行されない。IOCの場合は、500株が約定すると同時に残りの注文がキャンセルされる。

8)売買単位など

売買単位は、売り、買いともに1株単位(ADRの場合は1ADR)。刻み幅は1セント単位。注文約定後であればいつでも反対売買が可能で、デイトレードも可。決済は約定日から4営業日(T+3)で、アメリカの金融機関の営業日が基準。

アメリカではストップ高、ストップ安がないので、相場が乱高下する際は、成行注文が予想と大きく異なる価格で約定する可能性がある。

9)配当

アメリカの企業は四半期ごとの配当Dividendが一般的。第1四半期(1Q)から第4四半期(4Q)まで、(中間)決算の後に配当額Amount、配当落ち日Ex-Dividend Date、登録日Stock of Record、支払日Payment Dateが公表される。配当の受取りに特別な手続きは必要なく、株式を購入した証券会社の口座に振り込まれます。
配当に対する源泉徴収課税は30%だが、米国非居住者はW8フォームを提出することで10%まで軽減される。

原則として証券保管サービスを利用することになるので、株主の名義書換は購入時点で自動的に行なわれる。


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