シンガポール投資の拠点に利用価値高し
シンガポール最大の金融機関のひとつ。正式名称「シンガポール開発銀行」の名のとおり、1968年に政府系投資銀行として設立され、その後、銀行業務全般を行なうようになった。1998年にはシンガポールの郵便局にあたるPOSB(郵便貯金銀行 Post Office Savings Bank)を政府から買収、顧客数が500万人を突破した。
シンガポール内に84の支店、800以上のDBS/POSBのATMがあり、シンガポール国内のATM取引の半数以上を占めている。また米国、英国、日本、香港、インド、マレーシア、ミャンマー、中国、台湾、韓国、タイなどにネットワーク展開しているアジア最大の金融機関のひとつである。
通常の預金のほか、投資信託や債券、仕組み預金などの金融商品も充実しており、またシンガポールの主要証券会社に無料で送金できるなど、投資の拠点として利用価値は高い。
基本はシンガポールドル、外貨預金は通貨ごとに条件が異なる
口座はシンガポールドルと外貨預金。シンガポールドル口座はATMカードが付く普通預金、小切手帳が発行される当座預金のほか、その2つを合わせた利付き当座預金、定期預金がある。
以前は、非居住者でも、DBS銀行の口座保有者の照会状があれば簡単に口座開設が可能だったが、その後一時、労働VISAを求められるようになり、実質非居住者の口座開設は不可能になった。
現在は照会状は不要。労働VISAの保有が基本条件だが、ない場合でも、きちんとした口座開設目的(シンガポールの証券会社を利用していて、その決済口座として利用するなど)と、それを自分自身で伝えられる英語力があれば開設も可能。ただし、シンガポールに限らず、アジア全体の金融機関にいえることだが、担当者の裁量によるところが大きく、その判断によって口座開設を断られることもある。
非居住者には専用の「DBS Savings Plus」口座が提供されている。VISAデビットカードが発行される普通預金口座で、最低預金額は5,000シンガポールドル。これを下回ると月2シンガポールドルの口座維持手数料が発生する。
デビットカードは、シンガポール国内のATMで利用できるほか、シンガポール外ではPLUS(VISA)のATM、日本国内ではゆうちょ銀行、セブン銀行およびシティバンク銀行のATMでも利用可能。日本国内でのカード利用については「海外送金」【Q-044】参照。
その他、シンガポールドルおよび米ドル、ユーロ、日本円など12通貨で利用できるマルチカレンシー口座もある(下表参照)。
定期預金口座はシンガポールドル建てが最長36カ月、日本円を含む9通貨が最長12カ月。最低預金額は1,000シンガポールドルおよび5,000シンガポールドル相当額。ひとつ定期預金を持っていれば、インターネットバンキングで追加の口座開設が可能。
手続きは窓口のみ。英語でのコミュニケーションが必要
口座開設手続きは必ず本人が現地の支店窓口で行なう。シンガポールの銀行は、香港の銀行よりもハードルが高い。また、先にも説明したように、口座開設の目的が重要なため、たとえば先にフィリップ証券に口座を開設し、その証拠(書類)を持って手続きに行くなどの対策が必要。また担当者によって判断が分かれるため、いちど断られてもあきらめずに、別の支店に行って再度挑戦してみるなど、根気よくチャレンジしよう。
口座開設手続き自体は非常にシンプル。名前や住所などの基本情報を用紙に記入すると、銀行員がそれをコンピュータに入力してくれるので、最後に内容を確認し、電子ペンで専用パッドにサインをする(サインはコンピュータに登録される)。
ただし、インターネットバンキングやテレフォンバンキングを利用したい旨をこちらから言わないと、手続きをしてくれないことがあるので、必ず確認すること(書類へのサインが必要)。
インターネットバンキングで海外送金も可能に
以前は、インターネットでの送金はシンガポール国内のみだったが、25,000シンガポールドルまでは海外送金も可能になった。それ以上の額を送金する場合は、オリジナルの書類を郵送する。
セキュリティのため、送金手続きをすると、携帯電話のショートメッセージ(SMS)を利用して、One Time Password(OTP)が送られてくる。
金融商品に投資&シンガポールの証券会社との組合せ
シンガポールでは銀行で株式を売買することはできないが、投資信託、債券などの取引は可能。仕組み預金などのハイリスク商品もある。窓口で担当者と相談しながら手続きするのが原則なので、興味があれば口座開設時に投資担当者を紹介してもらおう(シンガポール居住者であれば、一部インターネット上から購入できる投資信託もある)。
株式投資に興味がある場合は、シンガポールのオンライン証券会社を利用する。シンガポール内には金融機関同士の送金ルートがいくつかあるが、DBS銀行を通して「Giro(ジャイロ)」や「Bill Payment(請求書払い)」サービスを利用すれば、インターネット上の手続きだけで、手数料無料で証券会社に送金できるようになる。