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海外投資実践マニュアル(7)
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米国市場の基礎知識(3)
上場型投信ETF
ETFはExchange Trading Fundの略。日本のTOPIX連動型上場投信や日経225連動型上場投信と同じ、証券取引所に上場され、株式と同様に売買される会社型ファンドをいう。
アメリカのETFは、その構成銘柄によって次のようなタイプに分けられる。
1) Broad-Based:異なる業種や市場など広い範囲から選んだ銘柄で構成
2) Industry Sector:関連業種の中から選んだ銘柄で構成
3) International Sector:ある国や地域から選んだ銘柄で構成
ETFの中には特定の株価指数(インデックス)に連動する投資信託がある。これをインデックスファンドIndex Fundという。
■アメリカの株価指数
アメリカの代表的な株価指数としては、以下の4つが挙げられる。
1) Dow Jones Industrial Average:ダウ工業株30種株価指数
ダウジョーンズ社提供。アメリカの誇るブルーチップ30社を集めたアメリカの代表的指数。ニューヨーク・ダウ。
2) S&P 500 Compose Stock Price Index:S&P500株価指数
スタンダード・アンド・プアーズ社が選定する、アメリカの大企業500社を集めた代表的な市場インデックス。
3) Nasdaq Composite Index:ナスダック総合株価指数
ハイテク銘柄を中心としたNASDAQ市場とスモールキャップ上場全銘柄約4,000社の時価総額加重平均指数。
4) Russell 3000 Index: ラッセル3000株式指数
アメリカの上場企業の上位3000社、時価総額で98%をカバーするラッセル社の株式指数。
こうした株価指数を基本に、AMEXやNASDAQにはさまざまなインデックスファンドが上場されている。代表的なものは以下の4つ。
・SPDR(SPY)
通称スパイダース。S&P500に連動するアメリカでもっとも売買高の大きなクローズドエンド型ファンド。
・iShares S&P 500(IVV)
Barclays Global Investor社が運用するS&P500連動型ETF。SPYよりも売買高は少ないが、インデックスへの連動性など、こちらを好む投資家もいる。
・Nasdaq-100(QQQQ)
NASDAQ上場有力100社のインデックスファンド。ハイテク・インターネット企業が中心。
・DIAMONDS(DIA)
通称ダイアモンズ。ダウ工業株30種平均に連動したインデックスファンド。ニューヨーク株価に応じて値動きする。組入れ銘柄が30社と少ないため、売買高はSPYやQQQQに大きく劣る。
■セクターファンド
さらにAMEXには、Select Sector SPDR Fundsとして、9つのセクター・インデックス・ファンドも用意されている。
・ Consumer Discretionary(XLY):景気敏感株、サービス業(メディア・通信を含む)など
・ Consumer Staples (KLP):消費財(食品・日用品・製薬など)
・ Energy(XLE):エネルギー
・ Financial(XLF):金融
・ Health Care(XLV):ヘルスケア
・ Industrial(XLI):製造業
・ Materials(XLB):素材産業(化学・金属など)
・ Technology(XLK):テクノロジー
・ Utilities (XLU):公共株
このセクター・ファンドを使えば、テクノロジー・セクター(XLK)や金融セクター(XLF)など、産業別に投資市場を選択することが可能。それぞれのファンドを構成する銘柄は、S&P500社をセクターごとに分類したもので、AMEXのホームページで簡単に確認できる。この9つのセクター・ファンドを、各セクターの時価総額に合わせて購入すれば「SPY」になる。
●アメリカン証券取引所のホームページ
■世界のインデックス
Barclays Global Investor社のiSharesシリーズは、Morgan Stanley Capital International社の株式指数MSCIに連動した世界各国のインデックスファンドを提供している。たとえばiShares MSCI-EAFE(EFA)は、アメリカの投資家がアメリカ以外の市場に分散投資する際に利用しる代表的なETFで、EAFEは"Europe, Australasia Far East"の略。構成する20の国・地域はイギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、ギリシア、スイス、オーストリア、オランダ、デンマーク、ベルギー、アイルランド、フィンランド、ノルウエイ、オーストラリア、ニュージーランド、日本、香港、シンガポール。
iSharesの世界インデックスファンドは、以下のとおりです。
・ iShares FTSE/Xinhua China 25 Index Fund (FXI):中国25指数
・ iShares MSCI Emerging Markets (EEM):エマージングマーケット
・ iShares MSCI-Australia (EWA):オーストラリア
・ iShares MSCI-Austria (EWO):オーストリア
・ iShares MSCI-Belgium (EWK):ベルギー
・ iShares MSCI-Brazil (EWZ) :ブラジル
・ iShares MSCI-Canada (EWC) :カナダ
・ iShares MSCI-EAFE (EFA):ヨーロッパ、オーストラリア、アジア
・ iShares MSCI-EMU (EZU):ヨーロッパ
・ iShares MSCI-France (EWQ):フランス
・ iShares MSCI-Germany (EWG):ドイツ
・ iShares MSCI-Hong Kong (EWH):香港
・ iShares MSCI-Italy (EWI):イタリア
・ iShares MSCI-Japan (EWJ):日本
・ iShares MSCI-Malaysia (EWM):マレーシア
・ iShares MSCI-Mexico (EWW):メキシコ
・ iShares MSCI-Netherlands (EWN):オランダ
・ iShares MSCI-Pacific Ex-Japan (EPP):日本を除くアジア・オーストラリア
・ iShares MSCI-Singapore (EWS):シンガポール
・ iShares MSCI-South Africa (EZA):南アフリカ
・ iShares MSCI-South Korea (EWY):韓国
・ iShares MSCI-Spain (EWP):スペイン
・ iShares MSCI-Sweden (EWD):スウェーデン
・ iShares MSCI-Switzerland (EWL):スイス
・ iShares MSCI-Taiwan (EWT):台湾
・ iShares MSCI-U.K. (EWU):イギリス
・ iShares S&P Europe 350 (IEV): S&Pヨーロッパ350
・ iShares S&P Latin America 40 (ILF):S&P南米40
・ iShares S&P/TOPIX 150 (ITF):S&P/TOPIX150
これを見ればわかるように、ETFの世界インデックスファンドを組み合わせれば、世界のほとんどの国や地域に投資できるようになっている。
●iSharesのホームページ
●MSCIのホームページ
それ以外にもアメリカン証券取引所には、グロース株、バリュー株など投資手法で分類したPowerShares社のファンドや、インデックスファンドの生みの親であるヴァンガードVanguard社のETFなど、150本を超えるファンドが上場されている。それによって投資の選択肢は大幅に広がるが、ここで注意しなければならないのは売買高。ETFのなかには、SPYのような巨大なものもあれば、ほとんど売買の成立していないものもある。売買の少ないマイナーなファンドだと取引が成立せず、売りたくても売れない事態になる恐れがあるので購入前に必ず流動性を確認するようにしよう。