THE OFFSHORE MANUAL & DIRECTORY

 Japanese Edition

 

監訳者の言葉

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日本語版の制作にあたって

 木村昭二(ファイナンシャルプランナー・PT研究家

 

  このたび、オフショアに関する豊富な情報を提供しているCALTON PRESS社の協力を得て、世界でも類をみない総合的なオフショア・データベースである「The Offshore Manual & Directory」を日本の皆さまにご紹介できることを喜ばしく思います。

なによりもまず、今回の日本での出版については、CALTON PRESS社のCEOであり、本書の編者でもあるK.F.B.Weiss博士の快い、敏速な対応に感謝しなければなりません。

博士は自らデンマークにおける高額な税負担に悩み、試行錯誤の末にオフショアやPTの技術を身につけてこられました。本書の広範囲にわたる情報の数々は、博士自らの経験の蓄積から得られたネットワークの賜物です。

 本書はオフショア金融やPT、海外ビジネスをはじめとした幅広い内容を網羅する情報データベースですが、そこには、日本の皆さまにとっては聞いたことのない驚くような内容も含まれていると思われます。

 世界の中には独裁的な権威国家がいまだ数多く存在し、その圧政の下で、自らの人権やビジネス、財産権、プライバシーを守る必要に迫られている人々が今も苦しんでいます。そうした人々を救うために、オフショアを利用したさまざまな手法が存在するということでもあるのです。

平和で自由な日本に生まれ育った私たち日本人には想像もできないし、またそのような必要性もないため、知ろうともしないのが現実かもしれませんが、しかし世界は広く、実は私たち日本人が知らないだけで、海外の投資家や企業家はこのような技術を当然のごとく利用しています。

それでは、私たちにとって、あえて本書に掲載されているような情報を知る必要性はあるのでしょうか?

 これまで私たち日本人は、右肩上がりの高度経済成長の恩恵を受け、国内でのみ事業投資、資産運用、ライフスタイルを考えていれば幸福な人生を送ることができました。

経済成長が持続し、所得が時とともに確実に上昇し、人口は増え続け、市場が拡大し続ければ、民間企業の業績は向上し、終身雇用制は確保され、国の税収も確実に増え、土地や株式は持続的に上昇し、さらに消費は拡大し、GDPは成長し……確かに戦後の日本は、プラスの効果がさらにプラスを誘引する好循環の恩恵を享受することができたのです。

ところが、その歯車は不幸にも逆回転を始めました。1990年および2000年の2つのバブル崩壊後、すべてがマイナスに働くようになってしまったのです。

土地や株式の暴落が金融セクターを痛めつけ、民間企業の業績は悪化、終身雇用制の崩壊、消費収縮、少子高齢化の進行、年金の破綻、経済収縮による税収の落ち込み、国家債務の増大、国際競争力の低下、企業倫理の喪失、政治家や官僚の腐敗、教育現場の荒廃……いつから日本はこのような道を歩み始めたのでしょうか?

このような不安な21世紀を迎えて、果たして私たち日本人は、この国にのみ事業投資や資産運用、ライフスタイルのすべてを委ねておいても良いのでしょうか?

そのような将来への不安やリスクを避けるためのヒントになりうる情報が、本書には満載されています。

  本書の構成は、大きく分けて3つのパートからなっています。

まずパート1では「PT Financial Dictionary」と題して、オフショア金融や海外ビジネス、海外投資、海外法務・税務、PT関連等の英単語について、その意味を日本語で解説しています。いわば「英和オフショアPT事典」です。

ここでは、市販の英和ビジネス用語辞典には載っていないような単語も網羅し、よりオフショアやPTの現場で使用されている実務用語についての解説を行なっています。

パート2は「PT Yellow Page」と題して、匿名銀行口座からWEBサイトまで、非常に広範囲にわたる分野について、商品やサーヴィスを提供している会社の連絡先を掲載してあります。これはいわば、「PT電話帳」とでも言えるでしょう。

この部分の充実度には驚くものがあり、世界でもここまで広範囲の情報を掲載したデータベースは他に見たことがありません。

最後のパート3は「Tax Havens & Offshore Guide」と題して、世界の70のオフショアセンターごとに、政府機関や専門家のコンタクト先を掲載しています。これはいわば「オフショア電話帳」でしょう。各々のオフショアセンターの概要が、国・地域ごとに最初に解説されています。

 このような貴重なデーターを満載した本書を如何に有効に活用するかは、この本を購入された皆さま次第です。

 皆さまが、本書の情報を活用し、より良いライフスタイルを築くことを願ってやみません。

幸運をお祈りします。

 20024月吉日 木村昭二

訳者略歴

木村昭二(きむらしょうじ)

東京生まれ。慶応大学卒業後、複数の金融機関、シンクタンク等を経て現在は、PT研究家として調査・研究業務に従事

タックス・ヘイヴンについては学生時代より関心を持ち、実際にタックス・ヘイヴン、オフショアセンターを個人的に訪れ、地道に調査・研究を続ける。日本における「PT」研究の第一人者。

ファイナンシャルプランナー、証券アナリスト。

著著に『税金を払わない終身旅行者』(総合法令)などがある。

 


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