The Traveling Millionaire
本書発売後の追加情報
1)リヒテンシュタインの銀行情報流出
2008年2月18日、ドイツ情報機関(BND)はリヒテンシュタインのLTG Bankの顧客情報を400万ユーロ(約7億円)で購入したと発表した。LTGはリヒテンシュタインの皇室財産を含む富裕層の資産1000億スイスフラン(10兆円)を管理し、日本を含む29カ国でビジネスを展開している。
LTGによれば、ドイツ当局に提供されたデータはHeinrich Kieber(HK)なる人物が2002年に違法に入手したもので、同年末時点のおよそ1,400件の顧客情報が含まれている。HKは1999年10月にIT会社から派遣され、2001年4月から2002年11月までLTG社員として顧客情報の電子データへの移管に従事していた。
HKは1996年にスペインで不動産の不正取引にかかわったとして国際手配されており、2002年にリヒテンシュタイン司法当局が告発を決定したが、その直後にDVD3枚に顧客情報を保存してLTGを退社、リヒテンシュタインの最高権力者ハンス・アダム2世宛に恩赦を求める手紙を送りつけた。
HKは2003年5月にリヒテンシュタインに帰国、同年10月に懲役4年の実刑を宣告されたが、2004年の高裁判決で懲役1年執行猶予3年に減刑されている。このときに顧客データを収録したDVDはLGDに返却・破棄されたことになっている。
ドイツ情報機関が国会の情報委員会で行なったブリーフィングによれば、彼らが情報源に接触したのは2006年1月24日で、その後2年間の調査を経て顧客情報の購入が決定された。この情報源が、LTGが主張する人物(HK)であるかどうかは明らかにされていない。
ドイツ司法当局は2月14日、この顧客情報に基づいてドイツポストのツムウィンケル会長の自宅・事務所を強制捜査し、脱税容疑を問われたドイツ経済界の大物は辞任を余儀なくされた。その後さらに150人が強制捜査の対象となり、100人近くが脱税を認めた。現在までの追徴課税額は2800万ユーロ(約45億円)で、最終的には1,000人超が脱税を摘発され、追徴総額は数十億ユーロにのぼるとの見方もある。
ドイツ司法当局は、この大量脱税疑惑をめぐってミュンヘンにあるスイス系プライベートバンクUBSの事務所や、ドレスナー、ベーレンベルクなどドイツ系金融機関の富裕層部門を強制捜査している。
メディアの報道によれば、顧客情報はアメリカ、イギリス、フランス、イタリア、スウェーデンなど欧米諸国に無償で提供され、すでに調査が始まっている。「日本の税務当局にも顧客データが提供された」と報じたメディアもある。
顧客情報をドイツ情報機関に売却して大金を得たHKは、新しい身分を提供されオーストラリアで暮らしているという。
2008/3/5
2)CMEにEEM先物上場
本書58ページ註で触れたEEM先物がCME(Globex)に上場されています。
CMEの先物で世界株インデックスを構築する場合は、S&P先物40%、EAFE先物40%、EEM先物20%の割合で保有します。
2008年3月4日時点の価格で試算すると、下記のようになります。
価格 | 倍率 | 最低 | ロット枚数 | 想定 | 元本配分 | 率|
S&P500 | 1,327 | 25 | 33,175 | 3 | 99,525 | 38.8% |
EAFE | 2,013 | 50 | 100,665 | 1 | 100,665 | 39.2% |
EEM | 1,128 | 50 | 56,385 | 1 | 56,385 | 22.0% |
256,575 |
S&Pミニ3枚、EAFEミニ1枚、EEMミニ1枚を組み合わせることで、想定元本25万6575ドル(約2700万円)の世界株ポートフォリオができあがります。
2008/3/5
3)本書72ページ「油田開発期待で買われたペトロベトナム」とあるのは、「ペトロベトナム・ドリリング」の間違いでした。お詫びの上訂正させていただきます。
2008/3/12