Illustrated Guide to Join Global Markets


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あとがき

「海外投資を楽しむ会(AIC)」は1998年5月に発売された『ゴミ投資家のためのビッグバン入門』の制作スタッフを中心に、翌99年に、当時は未体験の領域だった海外金融機関の口座開設に挑戦する個人投資家の情報交換の場としてインターネット上に設立され、2008年に10周年を迎えました。

 会員数は本書発売時点で1万6,000人を超え、海外投資の情報サイトとしては日本最大規模にまで成長しました。

 この10年間で、海外投資の世界は大きく変わりました。

 私たちがはじめてジャージー島のケイターアレン銀行(現在のアビーインターナショナル銀行)に口座を開設したときはオンラインバンキングはまだ普及しておらず、つたない英語で電話をかけ、金融英語辞典片手に手紙を書いてやり取りしていました。

 オフショアファンド会社に情報提供を求めた際には、当時は珍しかった日本人の個人投資家に興味を持った各社の担当者から深夜に頻繁に電話がかかってきてパニックに陥りました。

 いまでは口座開設から取引まですべてインターネットで完結するオンラインブローカーも登場し、海外の金融機関が日本人投資家からの問い合わせに驚くこともなくなりました。

 インターネットの急速な発達と情報通信技術の進化によって、いまでは言葉の壁をほとんど意識することなく世界じゅうの金融機関を使いこなすことができます。

 20世紀末のITバブルで一時は2万円を超えた日経平均は2003年3月には8,000円割れまで暴落し、2006年1月のライブドアショックでは東証の売買システムが機能不全となり、株価は2日間で5%も下落しました。

 2007年夏に端を発したサブプライム問題で世界経済全体の動揺が続いていますが、バブル崩壊後の20年を見れば、低迷から脱することができない日本市場に比べて海外株式の堅調は明らかです。

 1990年1月に1ドルを日本株に投資すると、2008年には49セントと、半分以下に減ってしまいました(年率マイナス3.83%)。それに対して世界株への分散投資は2.71ドルへと3倍近く増えています(年率5.65%)。

 過去のデータは将来を占うものではありませんが、少なくとも現時点では、トライ・アンド・エラーで海外投資を実践してきた投資家がより多くの果実を得たことは間違いありません。

 AICの基本理念は「Do It Yourself(自分のことは自分でやろう)」で、「投資のプロ」や「資産運用の専門家」に頼らない“Alternativeな(もうひとつの)”投資の可能性を追求しつづけてきました。

 本書で紹介した銀行や証券会社はその試行錯誤の成果で、これらの金融機関を組み合わせれば、100万円程度の資金しかないごくふつうの個人投資家でもプライベートバンクや機関投資家を超える資産運用のパワーを手に入れることができます。これが、“金融2.0という革命”の本質です。

 本書では、日本人の投資家がもっともよく利用している5つの銀行と8社の証券会社(ブローカー)の概要を紹介しています。

 どれも個人で問題なく口座開設できる金融機関ばかりなので、英語でのやり取りに不自由がなければ、自分でホームページにアクセスし、電話で問い合わせることで自在に使いこなすことができるでしょう。より詳しい情報を日本語で入手したい方のためには、各金融機関の詳細なマニュアルを用意しています(AICのホームページから購入可能)。

 AICの会員ページには会員専用の掲示板があり、開設以来変わらず活発な議論と情報交換が続いています。本書の作成にあたっても、会員掲示板で提供された情報を十二分に活用させていただきました。

 この10年間、私どもの活動を支えてくださった読者・会員の皆さまに感謝するとともに、新たなる10年に向けて、さらなる未踏の大地を探す旅を共に続けたいと思っております。

2008年7月吉日  
海外投資を楽しむ会  


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